登録有形文化財旧長濱検疫所一号停留所の移築に関する近況報告
(令和7(2025)年6月2日 現在)
登録有形文化財旧長濱検疫所一号停留所(厚生労働省横浜検疫所検疫資料館)(※以下、一号停留所)は、令和7(2025)年3月31日を以て、横浜市金沢区海の公園(※以下、海の公園)へ移築されました。
横浜市みどり環境局の話によると、移築完了後、防犯カメラ設置などの追加工事があるとのことです。また、今後、建物としての管理は、登録有形文化財であることも踏まえて、横浜市みどり環境局が執り行い、いずれ指定管理者が決まるとのことですが、現時点において積極的な情報開示はありません。
本会としては一号停留所の検疫資料館としての利活用を推進していきたいと考えていますが、指定管理者が決まった後、どのような管理運営が行われるのか、また横浜市に寄付された一号停留所(検疫資料館)について厚生労働省がどのような対応をするのかなど、不明な点が多々あります。
今後、改めて、横浜市緑環境局はじめ各方面に対して、情報の開示と対話の機会を求めていきたいと考えています。
なお、4月以降、8月現在においても、工事用塀は撤去されることなくそのままであるため、建物に近づくことができません。すき間から建物の外観の一部は見て取れますが、内装までは確認できない状況です。
そこで、とりあえず、撮影した写真と Google Earth のマップを使い、移築された一号停留所の現況をお知らせします。
なお、作成は、令和7(2025)年6月2日 現在のものです。ただし、8月24日現在も変化はありません。
一号停留所の移築場所について
海の公園内の具体的な設置場所については、図面等の情報が開示されていないので正確詳細にお知らせすることはできません。また、GoogleマップやYahoo!マップなどの地図検索システムでも、一号停留所が海の公園に移築された事実は、完全には反映されていません。
ただし、Google Earthでは、以下のように設定することで一号停留所の写真が表示されることが確認できましたので、2025年6月2日の時点での画像を示します。ただし、前述のとおり、8月24日現在も変化はありません。
・レイヤ > 航空写真 をオン
・レイヤ > 過去の画像 をオン
・画面上部に表示される過去の画像の日付を2025年3月7日
※これ以外のオプションを選択することで、様々な表示が可能になります。
PC、タブレット、スマートフォンなどの端末で、以下に示すURLやQRコードをお使いになり、ぜひ実際に操作してお試しください。
下のQRコードからも表示できます。

ただし、このままでは一号停留所の名称が表示されませんので、一号停留所のマークを追加して表示するとともに、現地で撮影した写真を示しながら説明します。
一号停留所の現況
工事対象の表示パネル

工事対象がどのような建物であるものかを解説したもの。写真は、移転前の横浜検疫所敷地内(横浜市金沢区長浜107-8)にあった移築前の姿。登録有形文化財の登録内容が表として、また建物の立面図が表示されています。
Google-Earth によるマップ
Google-Earth によるマップ 1 海の公園 航空写真

中央左下(南西方向)から右上(北東方向)にかけて長大な「海の公園」の砂浜が広がっていますが、一号停留所は砂浜の最南端に隣接するように位置しています。わかりやすくするために赤色のマークを追加して表示してあります。右側の島は八景島です。遊園地の「横浜・八景島シーパラダイス」があり、こちらも大勢の人でにぎわいます。
この写真では建物の大きさが小さいためにわかりにくいのですが、建物の正面は、右上の砂浜の最北端に位置する「海の公園管理センター(黄色のマーク)」方向に向けられています(図4を参照)。そのため、海の公園のどの位置からも一号停留所の姿が一望できますので、数多の来訪者の目に留まることは疑う余地がありません。
現地保存がかなわなかったものの、数多の方々に見て知っていただくという点においては、かえってよかったのではないかとも思われます。
もっとも、今後、工事用の塀が撤去されて建物の全景が見られるようになった際、どのような形で情報が公開されるのかについては現時点で不明です。
最小限、一号停留所が登録有形文化財であることや、それがどのようなものなのか、またどのような意味や価値を有するものなのかについての解説パネルの設置はあってほしいところです。さらに、建物の外観だけでなく、内部の見学が可能になることが望まれます。
本会としても、今後の利活用について様々な可能性を考えつつ、関係の部署・団体等にも働きかけて取り組んでいきたいと思います。
Google-Earth によるマップ 2 一号停留所 建物拡大航空写真(風景写真番号付き)

Google-Earth によるマップ 3 海の公園 航空写真(風景写真番号付き)

建物の平明図・断面図
寸法の数字については判読が難しいですが、建物の構造や部屋の名称などを確認しておきたいと思います。


青丸の風景写真番号順に建物の様子を説明
風景番号 1 一号停留所の裏面

一号停留所の裏面です。塀のすき間から撮影しました。よって、残念ながら、現時点ではこれ以上に近づくことはできませんので、建物の内部の様子については不明です。
建物本体については、古い部材を生かしつつ、傷みの激しいものは新しい部材に交換して大正後期(関東大震災後)の姿に復元されました。塗装も新しくなり、大変美しい姿によみがえりました。
手前と奥の突き出し部は、平面図の上部左右両端のそれですが、洗面所とトイレ(図面では便所)です。その屋根は鉄板葺きの明るい青緑色で、窓枠は明るい緑色です。
それに対して、本体の屋根は灰褐色。後述しますが、施工業者である株式会社アイチケンの紹介記事では、「主屋屋根はスレートで葺き直し、銅製雨樋を新調。」とあることから、スレートの色であることがわかります。
建物全体は、歩道から一段高い所に建てられているので、敷石が敷き詰められたアプローチは、やや上り坂になっています。また、周囲には植栽が整えられています。
植栽の樹木に隠れてわかりにくいのですが、建物の手前(写真では左側)には車椅子用のアプローチや手すりが設置されています。施工業者である株式会社アイチケンの紹介記事では、「西側がメイン玄関。今後の利活用に向け、屋外にバリアフリー対応のスロープ・階段、入口に自動ドアを新設。」とあります。
風景番号 2 建物の正面右方向から

建物の正面右方向から撮った写真です。工事用の塀が撤去されずに残っているので、残念ながら建物の下半分は見えません。
図7で説明したように、手前右端に見える突き出し部(洗面所・トイレ)の屋根は鉄板葺きの明るい青緑色、窓枠は明るい緑色ですが、本体の屋根はスレートで拭き直されて灰褐色になっています。
建物(本体)手前(左から談話室・ホール・停留室)の左側には、ひさしの下に張り出した出窓(ベイウインドウ)が写っていて、おしゃれな外観となっています。
その左奥には、手前と同じく対象形に配置されている本体(食堂・ホール・停留室の食堂の一部)が小さく見えていて、出窓(ベイウインドウ)も一部が写っています。
歩道が手前から右奥にかけて上り坂になっていることからも、図7で説明したように、建物は歩道から一段高い所に建てられていることがわかります。
風景番号 3 歩道の坂をほぼ下り切って、建物がコの字型になっていることが見える位置

歩道の坂をほぼ下り切って、建物がコの字型になっていることが見える位置から撮影した写真です。
写真では遠いですが、建物の奥まった中央部には手前の中庭への出入口の屋根が見えています。
風景番号 4 建物のほぼ正面

建物のほぼ正面からの写真です。
建物がコの字型で左右対称になっていることがよくわかります。右側の突き出した部分が談話室、奥まった中央部の手前部分がサンルーム、左側の突き出した部分が食堂です。
そして、中央手前のサンルームの屋根は、平屋根に近い傾斜の緩い鉄板葺きで青緑色であることがわかります。(改めて、図5・図6を参照してみてください。)
風景番号 5 海の公園の最北部にある「海の公園管理センター」直下の砂浜から

海の公園の最北部にある「海の公園管理センター」直下の砂浜からの写真です。
砂浜の向こうに海面が広がっていますが、さらにその奥(数字番号の真上)に、白い工事用塀といっしょに一号停留所の建物が見えています。
建物本体の奥の屋根は灰褐色なのであまり目立ちませんが、一段低い手前側の屋根は青緑色なので、それが横一線に目立っています。窓枠の緑は、屋根の陰に入って薄暗いため、あまり目立っていません。
この風景から見て取れるように、図2のところでも説明しましたが、一号停留所は、海の公園のどの位置からも一望でき、来訪者の目に留まることは疑う余地がありません。
この好条件を生かして、より多くの方々に一号停留所の存在とその価値を知っていただけるようにしたいものです。
風景番号 6 海の公園の最北部にある「海の公園管理センター」に併設されている「海とのふれあいセンター」屋上庭園から

海の公園の最北部にある「海の公園管理センター」に併設されている「海とのふれあいセンター」屋上庭園からの写真です。写真右端は東屋の柱、その上に屋根が写っています。
手前に複数本の松が、そしてその右側には砂浜が広がっているのが見えます。青い囲いのある部分はビーチバレーコートです。
そして、松の枝葉の間の向こうに見える海水面のさらにその奥(数字番号の真上方向)に、白い工事用塀といっしょに一号停留所の建物が見えています。
建物本体の奥の屋根は灰褐色なのであまり目立ちませんが、一段低い手前側の屋根は青緑色なので、それが横一線に目立っています。窓枠の緑は、屋根の陰に入って薄暗いため、あまり目立っていません。
繰り返しになりますが、図11でも説明したように、一号停留所は、海の公園のどの位置からも一望でき、来訪者の目に留まることは疑う余地がありません。
この好条件を生かして、より多くの方々に一号停留所の存在とその価値を知っていただけるようにしたいものです。
施工業者である株式会社アイチケンのホームページの情報
施工業者である株式会社アイチケンのホームページに完成直後の写真9枚と簡単な解説があります。
現時点で工事用塀が撤去されていないため、塀の外側からは建物の姿を十分に見ることができない中、美しい写真と端的な説明から、その外観を知るよい手がかりになります。
- 玄関について「西側がメイン玄関。今後の利活用に向け、屋外にバリアフリー対応のスロープ・階段、入口に自動ドアを新設。」「東側玄関は、非常時の出入口としても機能。自動火災報知機と連動する電気錠を扉に新設。」
- 塗装について「大正期の塗装色を再現。海風などへの耐候性も考慮した塗装材を選定。」
- 屋根について「主屋屋根はスレートで葺き直し、銅製雨樋を新調。」
などの説明があり、塀の外からではわかりにくい様子を知ることができます。