登録有形文化財一号停留所の保存に向けてNPO法人化そして解散
平成15(2003)年7月、輸入食品・検疫検査センター/検疫資料館(一号停留棟)の施設公開開始
一号停留棟(以後、一号停留所)は、明治28(1895)年3月に上等船客(当時の旅客船賃「一等・二等」などの利用者)用の停留(一時的に宿泊収容する)施設として完成しました。
大正12(1923)年9月1日の関東大震災で罹災したものの、翌年には原形のように復元され、往時の姿を留めるものとして日本では唯一現存する建物です。
また、かつて検疫の実務に使用された貴重な器材や資料が保管されていたことから、昭和61(1986)年より「検疫資料館」としての活用が開始され、平成15(2003)年7月からは、年1回の公開ではありながらも市民が検疫の実態を目の当たりにすることができる貴重な施設でもありました。
本会(当時は「野口英世細菌検査室保存会」)は、厚生労働省横浜検疫所の依頼を受け、年1回の公開日のガイドを委託され、それを期に、平成26(2014)~27(2015)年にかけて、同館の資料調査および目録作成を実施しました。この作業を通して、検疫施設としての歴史的価値やその重要性を再認識するところとなりました。
登録有形文化財「旧長濱検疫所一号停留所(検疫資料館)」の一般公開【2022年11月16日】
平成30(2018)年、登録有形文化財に指定
平成30(2018)年に登録有形文化財に指定され、それまでの協力支援が評価されて、本会(当時は「野口英世細菌検査室保存会」)に感謝状が授与されました。
その後、金沢区長浜にある厚生労働省横浜検疫所が、令和5(2023)年にみなとみらい21新港地区の合同庁舎に移転することに伴い、その跡地が更地になるとの情報があり、「登録有形文化財一号停留所」の保存がどうなるか、その将来が憂慮される事態となりました。
一号停留所の保存に向けて、任意団体としての「野口英世細菌検査室保存会」を改め、市民や社会の信用を得られるNPO法人化し、「NPO法人 野口英世よこはま顕彰会」を発足させました。
そして、令和2(2020)年10月、署名活動を開始し、令和5(2023)年4月26日までに到着の6601筆を以て署名活動を終了しました。
令和2(2020)年10月、旧長浜検疫所一号停留所(横浜検疫所検疫資料館)保存の署名活動を開始
令和5(2023)年4月27日、一号停留所保存の署名活動 2023/4/26までに到着の6601筆を以て署名活動を終了
この間、通常のパネル展示だけでなく、様々なイベントを実施したり、広報紙タウンニュースに連載記事を寄稿したりして、保存の意義を広く訴える活動を展開しました。
令和4(2022)年6月、横浜長浜「検疫資料館」の保存・利活用に関連した特別講演
令和4(2022)年9月11日『お話と朗読 ~ 感染症の歴史と野口英世の足跡をたずねて』
令和4(2022)年11月~2023年4月、「タウンニュース 横浜 金沢区・磯子区版」に「野口英世と長浜」を6回にわたり掲載
令和5(2023)年10月8日『どうする・どうなる? 国民が誇れる検疫遺産!~検疫資料館(旧一号停留所)の保存・利活用をめぐって』
令和6(2024)年1月、一号停留所の動向 署名活動終了後の一号停留所にかかわる動向
登録有形文化財一号停留所の横浜市金沢区海の公園への移築復元工事完了が目前となり、保存運動の一定の成果が出たことから、NPOとしては解散することを決定しました。
令和7(2025)年3月、一号停留所は海の公園に移築され、関東大震災の翌大正13(1924)年当時の姿に復元されました。長浜地区での現地保存はかなわなかったものの、保存運動の成果が得られたことは誠に喜ばしいことでした。
その後の経過は以下のとおりです。
令和7(2025)年6月2日、登録有形文化財旧長濱検疫所一号停留所の移築に関する近況報告
令和8年1月7日、2026年1月7日 国の登録有形文化財「旧長濱検疫所一号停留所」の活用候補者が「スターバックスコーヒージャパン(株)」に決定|横浜市長定例記者会見
この一号停留所は、国内唯一の貴重な検疫制度を語る歴史遺産であるばかりでなく、国民の健康を守る医学遺産としても位置づけられるものです。
令和8(2026)年夏頃にスターバックスコーヒージャパン(株)が出店し、営業を開始すると共に一般公開される運びとなりました。
「文化財としての価値を継続しながら、市民が気軽に歴史文化を感じることができるとともに、その雰囲気の中で飲食等を楽しむことができる施設として活用」されることが期待されています。
本会は、これからも、野口英世博士ゆかりの「細菌検査室」に加えて、「一号停留所」および「収蔵資料」の利活用に取り組んで参ります。


